百貨店でデパガ(って今言うのかな)をしていたときのことを書きたくなった。
入社した頃は、バブルは終わっていたけどまだ高価な服がバンバン売れていた時代。
最初に配属されたのは、レディスファッション売場のJ&Rというブランドで、
当時のオシャレなOLさんたちに大人気!
場所が銀座ということもあって、
銀座の水商売にお勤めのお姉さんたちもよく買いに来てくれた。
私が勤めていた百貨店は社員の制服がなく、
だいたいは配属されたブランドの服を着て売場に立つのだが、
学生時代はいつもジーンズで、綺麗めのスーツなんてろくに着たことがない。
お店に並ぶきらびやかな洋服たちの中から何を選んだらよいのか、
自分には何が似合うのか全くわからずだった。
お店の店長の「色白だから絶対似合うわよ!」という熱いトークにのせられて、
初任給をはたいて買ったのが、、
ショッキングピンクのスーツ。
目が覚めるような真っ!ピンクのスーツだった。
それまでの人生の中ではありえないセレクト。
上も下も本当に真っピンク。
しかもミニスカ!
似合っていたのかどうかは別としつつ、
でも不思議なことに、そのスーツを着ると
いつも物怖じしてしまう自分とは何か違うスイッチが入ったのを覚えている。
10センチの超ハイヒールを履き(手持ちはローファーばかりで
ヒールの靴は何故か10センチのそれしかなかった)、
膝をがくがくしながら、
「いらっしゃいませー!」「どうぞお手に取ってご覧くださいませー!!」
と、銀座の百戦錬磨のお姉さんたちに対して、
あまりひるむことなく声掛けする自分がいたのだ。
とにかく、オシャレ番長を自認する銀座のお姉さんたちは、
ファッション感度も高く、流行もしっかり捉え知識も豊富。
どっちが店員でどっちがお客さまなのかわからない時も、多々あった。
入社当時は、ファッションに疎くて接客業もはじめての私だったが、
会社の研修より何より、お姉さんたちから学び、
たくさん、そう!本当にたくさん鍛えていただいた。
まさに「現場で学べ」である。
それにしても、洋服というのは不思議なものだな、と思う。
いつもの自分の選択「外」の服を着ると、
いつもと違う自分が垣間見える。
新しい自分に会いたいと思ったら、
いつも絶対に選ばない色やデザインを選んでみたらいいのかもしれない。
きっと、いや絶対に。
新しい発見がある!はずである。
三木 沙織