昨年の春から
闘病していた友人が、
4月の半ばに天に召されて
早くも半月が経つ。
お通夜の前、
ご家族ご親族と共に
友人数名と
湯灌に同席させてもらう
という貴重な機会を
いただいた時のこと。
送り人による
心のこもった所作を見守り、
最後の死化粧を終えた
友人を見て
顔色が悪いままだな、、
と気になった。
亡くなる一ヶ月ほど前、
急激に痩せて
顔色が悪くなったことを
気にしていた友人。
「これじゃ誰にも会えないなぁ」
と呟いていた
哀しそうな友人の顔が
思い出された。
棺に入った友人を眺めながら
思いにふけっていると、
同席していた友人の一人が
「さおりさんメイクしたら?」
と。
思いがけない言葉をくれた。
「え?!いいんですかね、、?」
恐る恐る送り人の方に尋ねると
「どうぞどうぞ~!
メイク道具もお好きに使ってください」
と、快くOKしてくれた。
死化粧をするのは
もちろん初めての経験。
生前の友人の顔を思い浮かべながら
メイクブラシを手に取った。
病気の症状で
肌が黄色みを帯びてしまった友人は
元々深みのあるピンク肌。
ピンク系のファンデーションで
顔全体を包んだあと、
友人に似合う
ローズピンクのチークを頬に。
痩せてくぼんだ部分や
おでこの周りと顎の下にも
ふわっとチークをのせた。
薄くなった唇には
唇の色と同じ
ローズピンクの口紅に
手持ちのジェルを混ぜて
たっぷりと艶やかに。
手直しをさせてもらった
友人の顔は明るく活き活きとし
綺麗に整った顔が
蘇ったように見えた。
嬉しかった。
そして、友人のお兄さんが
「明るい顔になったなぁ、」
と、心から喜んでくれたことが
何より嬉しかった。
死化粧とは
残されたご家族に寄り添い
心を癒す尊い行為なのだ。
送り人の仕事に
携わっている方達に
改めて畏敬の念を感じた。
そしてメイクによる
大きな癒しの力を
心から体感したのだった。
この流れ、
美意識の高かった友人が
「さおりさん似合う色でお願いね」
と、導いたのかもしれないな。
葬儀が終わり
最後に友人の自宅を後にする時、
ふとカレンダーの言葉に
目が留まった。
好きなこと
やりたいことで
活き活きと。
大きな文字で
カレンダーには
そう書かれてあった。
長生きしたとして
人生は多分思っているよりも短い。
好きなこと
やりたいことに時間を費やし
存分にやりきって
人生を全うしたい。
無理することなく楽しみながら。
友人からのメッセージだな
そんな気がした。
どうぞゆっくりと安らかに。
出会いに感謝。
そして
たくさんのありがとうを。